サンパウロ 2年間

 サンパウロ「Sao Paulo」の生活(2016年4月~2018年3月)を綴ります。

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2018年3月11日(日)
「日本人の偏見」

 サンパウロに住んでいる日系人が,戦争中に正しい情報を得られず,勝ち組と負け組になって争った。

 ブラジルにおいては,日本のように物事が国民に周知徹底がなされないので,とりわけ現地サンパウロの情報に関しては,インターネット(日本語)や雑誌や知っている人に聞くしか方法がない。人に聞いた場合,内容はそれぞれである。

 そこで,サンパウロに駐在をしている日本人が,日本語のわかる日系人に聞いた話をそのまま事実として受け取り,間違ったことが広く信じられていることも多い。日系人がブラジルで生活するに当たって,これまでの経験で身に付けたものであろうが,その中には偏見もあるからである。

 例えば,「サンパウロのバスや地下鉄はスリの巣窟である」とか,「ブラジルでは日曜日に引っ越しをしてはいけない法律がある」とか,そのような類である。

 自分で,確かめることもしないで,日系人の話をそのまま鵜呑みにしてしまうのである。私も,学校まで白タクで行っていた頃,日系人の運転手の人が「この辺りは怖くて絶対に歩きたくない」と話していたが,実際に歩いてみたら問題になるようなことはなかったし,子どもや女性も歩いている。

 また,学校にスーツを着てバスで行った時,同僚が「大丈夫でしたか?」と私に尋ねた。上司や領事館からの情報をそのまま受け止め,過敏に感じているのであろう。パウリスタ通りをスーツで歩いている人は,何人もいる。
人間には,肌で感じる身の危険というものが備わっている。
確かに身を守るために気をつけることは必要であるが,限度を超えると生活を楽しむことができなくなってしまい,どこにも出かけられなくなる。

 バスにしてもそうである。一度乗ってみるとわかるが,和やかな感じの車内が普通である。かわいらしい小さい子が乗ってくると,皆がほほ笑み,降りる時にはまわりの大人が手でバイバイをする。赤ちゃん連れの女性やお年寄りには必ず席を譲る親切な人が大変多い。

 やはり,実際に体験をしてみることの必要性を強く感じる。

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