今日のブラジルには,様々な人種が見られるが,これは4世紀半にわたる移民の受け入れの結果である。
過去に植民地を持ったヨーロッパ諸国の中で,ポルトガルは世界中に広がる植民地での混血を嫌わなかったという点で他の国と違っていた。
ポルトガル自体が人口の少ない国なので,国は植民地のポルトガル人が現地の女性と結婚することを奨励していた。ブラジルに入植したポルトガル人にとって,インディオや黒人の女性に子供を産ませ,ポルトガルの影響力を広げるのは,国家的な義務さえあった。
白人,インディオ,黒人の歴史的な融合のおかげで,ブラジルには様々な混血が生じた。混血は,国のエネルギーのもとであり,これからの世界では,ブラジルの強みとなるというのが,ほとんどのブラジル人の考えである。
日系人も自分たちの文化の伝統を大切にする。日本人の移民は,1908年に笠戸丸移民に始まった。日本人移民の大半は,農業労働者として移民した人々だが,勤勉に働き,やがて独立する人々が多かった。彼らは,農産品の改良や流通経路の整備につくし,ブラジル社会の信用を勝ち取った。2世,3世には,高等教育を受けた人も多く,社会のあらゆる分野で活躍している。
ブラジルにも人種偏見が,ないわけではない。しかし,黒人だからといって,出世がさまたげられることはないし,異なった人種間の結婚が白い眼で見られることはない。ブラジルでは,偏見は人種よりも,経済的な地位の差から生まれる。黒人は,単純労働者が多いために差別を受けがちである。全国で一番貧しい人が集中している北東部出身の非白人も,経済的に差別されている。
(ブラジルより)
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